「皿洗いを手伝ったら、人生変わっちゃった」
そう笑って話すのは、笑顔があどけない男の子。初めて来たわたしのカメラに興味津々の様子だ。
「5年間は見習いの期間を過ごすとして。その頃、ばあちゃんは80歳。さすがに今のように店へ立つのも難しいかもしれないなって」
ひょろりと高い身長、金髪にピアス。こう書くと、一瞬怖そうに感じるかもしれないけれど、店へ入った瞬間から人あたりのいい柔らかな雰囲気が伝わってきた。
小遣い欲しさに、おばあちゃんが営む中華屋さんの手伝いに来たら、なんだか後を継ぐことになっちゃって、と話す。
「はて、自分が学生のときは5年後のことなんて考えただろうか?」
…ハイ、何も考えていませんでした。好きなアイドルとかミュージシャンのことばっかり考えてたな…小さくなる大人たち。
元気なおばあちゃんは、大きな中華鍋を振ってあれよあれよとおいしいメニューを生み出す。
その間にも「野菜とってきて」「皿洗いすすめて」、穏やかに孫に伝える。
おばあちゃんと孫のほのぼのとしたやり取りを眺めながら、ボリュームたっぷりのごはんをペロリと完食。
「こないだ加計呂麻島(かけろまじま・奄美群島の島)に帰ってきたんだよ。たんかん持っていってね」と、初めて来たわたしたちにお土産までくれた。海がすごく綺麗だから、いつか行ってねと。
注文したレバニラも餃子も絶品。壁の張り紙を見ると、お客さんが書いたと思われる「菜来軒を長く続けてほしい委員会」とある。
料理もピカイチ、それになんといっても温かな人柄がいい。ああ、帰りたくなる店がまたひとつ増えちゃった。
街中華めぐり!錦糸町・両国〈菜来軒〉で大きなレバニラを。店舗外観
町中華の名店が、墨田区石原にあります。店の名前は〈菜来軒 さいらいけん〉。蔵前橋通りにあって、最寄駅は錦糸町と両国かな?どちらからも少し離れていて、ロケーション的には地元の人が通う店ですね。
夜の暗闇に輝く赤い暖簾がたまりません。
街中華めぐり!錦糸町・両国〈菜来軒〉で大きなニラレバを。店内
中華屋らしい、赤いカウンターテーブル。奥には小上がりの席も。おしゃべりに夢中で写真を撮り忘れたのですが、どこか家っぽい感じなのは、小上がりの奥に冷蔵庫があるからなのか。
街中華めぐり!錦糸町・両国〈菜来軒〉で大きなレバニラを。メニュー
〈菜来軒〉のメニューのバリエーションの豊富さよ…!ラーメン450円に続き、ずらっと並ぶ品々。エッセイストの平松洋子さんが、作品の中で「メニューを読むのが好き」と書いていたのですが、わたしもそう。オーダーしてからずっとメニュー読んで想像するのが好き。
テレビで紹介されたという五目チャーハンも気になりつつ、まずはビールから。
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スカイツリーが眺められる押上の銭湯、大黒湯から徒歩15分ほどの菜来軒。銭湯帰りのビール、なんであんなに美味しいのでしょうか。
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今回はニラレバ定食を。
わ!想像と全然違うのがきた!レバーの大きさすごいな…!柔らかくてくさみも全くなし。しっとり、やわらかくておいしい…!野菜はシャキシャキ。ごはんのすすむ味。こってりに見えるけど、意外とあっさり食べられます。
野菜たっぷりの焼き餃子もおいしい。
細切り肉そばもボリュームがありつつ、意外なほどあっさり。とろっとした餡がからんだ肉と野菜がたまりません。
食べながら、おばあちゃんとお手伝いのお孫さんと世間話。ふたりの関係性がにじみ出た写真を撮らせてもらったので、こちらに載せます。
素敵なふたり。いろんなスタイルのお店があるけれど、こんな風に店の人となりが滲み出る店が大好きです。
思った以上に良い写真が撮れたので、次に行くときは現像して持っていく約束をしました。喜んでくれたらいいな。
下町の町中華めぐり、続きます。
錦糸町のランチおすすめ〈中華料理 菜来軒〉で街中華の味わいを 店舗情報
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