美しいものを、美しいと感じることすら忘れていた。
情報にまみれて、なにが正しいのか、このままでいいのか、など、四六時中考えが止まらない。どこへ行ってもいつも頭がオーバーヒートしているのはわたしの悪い癖だ。
〈喫茶ソワレ〉に行ったのは、多分7年ぶりくらい。喫茶店好きなら一度は行きたい名店だったのが、いまやInstagramで大人気。
四条大橋の近くにある店の前では行列が絶えず、何度か涙を飲んで入店を諦めた。
今回は出張のあと、急遽京都で1泊することにしたついでに久しぶりの訪問。夕方なら空いているかも、という読みが当たり、ほとんど並んでいない店の前で順番を待つ。
呼ばれて2階へ案内されると、ブルーの妖しいライトがグリーンのソファを引き立てている。
店の照明が青いのは、女性の肌がきれいに見えるからで、その昔はお見合いの場所にも使われたとか。
〈喫茶ソワレ〉でのオーダーは、ゼリーポンチと決まっている。なんでも、2代目オーナーの奥さんが発案したそうで、女性の心を掴んで離さないビジュアルなのだ。
透き通るカラーゼリーは、ピンク、ブルー、パープル、グリーンと色とりどり。口に入れるとシュワっとする。
使っている炭酸は、100年以上前と同じ製法の微炭酸なので、炭酸が抜けやすいそう。早めに食べて、と注意書きがあるのだけど、あまりにきれいで、ライトにゼリーをかざしてはしばらくうっとり眺める。
美しいものを美しいと感じることすら面倒に思えるほど、疲れていた。いつもなら余りある好奇心が戻ってこなくて、日々、心の拠り所のようなものを探していた。
けれど、ソワレのゼリーポンチに再会し、ようやく心が戻ってきたようだった。
大丈夫、きれいなものをきれいだと思えるようになれば、きっと。
〈喫茶ソワレ〉でゼリーポンチを ー京都の純喫茶巡り 店舗外観
〈喫茶ソワレ〉の場所は、祇園四条駅のすぐ近く。ソワレの目の前は喫煙所になっていて、けっこう人が多いのですぐわかるはず。
ちなみに夕方から夜だと、飲み屋などが密集しているせいか、酔った人が騒いでたりするので気をつけて…!
並んでいる間は、外観にも張り巡らせた美しい彫刻にも注目です。
1948年(昭和23年)創業の〈喫茶ソワレ〉。
ソワレとは、フランス語で「夜会」、「すてきな夜」を指すとのこと。夜の公演のことを「ソワレ」とも呼びますよね。響きが好き…。
〈喫茶ソワレ〉でゼリーポンチを ー京都の純喫茶巡り 店内
〈喫茶ソワレ〉は2階建て。どちらのフロアも素敵だけど、2階に行けた日はラッキーかもしれません。
階段の壁には、ずらりとカップアンドソーサーコレクションが。
階段を登るのもワクワクしちゃう。
それでは、うっとりと眺めたソワレの2階をご案内します。
木の彫刻は、創業者の友人である彫刻家が手がけたそうです。
ここまで豪華なものだと、今だときっと莫大なお金がかかるので個人の店へ取り入れるのは相当難しいはず…。
どちらもソファーでゆったりとしたテーブル席なので、すごく落ち着くはず。
〈喫茶ソワレ〉メニュー
メニューには店の歴史などが書かれているので、じっくりどうぞ。
〈喫茶ソワレ〉といえば、名物は「ゼリーポンチ」。
昔の製法で作られたサイダーに浮かぶ、色とりどりのゼリーにうっとり。
サイドからも美しいので見て!
カラフルなゼリーは、ほんのりと甘く、シュワっとします。意外とゼリー、たくさん入ってる。
テーブルに落ちる、天井のライトも天使の輪っかのよう。
〈喫茶ソワレ〉のグラス、販売してました
ちなみに〈喫茶ソワレ〉のグラスには、東郷青児のイラストが。グラスの販売もしているので、お土産にもいいかもしれません。
いつも大行列ですが、閉店の1時間〜1時間半前くらいだとあまり並ばずに入れるのでおすすめ。夜のソワレ、雰囲気があってよいですよ。
〈喫茶ソワレ〉店舗の場所について
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