「あの人から好きな店の話を聞きたい」
それは、情報収集のためというよりも、誰かが自分の偏愛を語るときに生まれる熱にグッとくるからなのかもしれません。
そこでふと、大好きなあの方たちはどんな店へ通っているんだろう?と思いました。
好きな店の話から、その人となりがちらりと見えてくる瞬間に出会えるのも、興味が湧くひとつの理由かもしれません。
2021年に4周年を迎える〈かもめと街〉は、ふだんはわたしが好きな店を語っているだけですが、今回初めてインタビュー企画〈あの人の好きな店〉を行うことにしました!
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この企画では、素敵な店と、それを語ってくれる人の魅力をあますことなくお届けできたらと思っています。
第1回目のゲスト、ザ・ギースさん!
と、いうことで。
初回のゲストはコントユニット、ザ・ギースの高佐一慈さん・尾関高文さんにインタビューさせていただきました!
昨年のキングオグコントでもファイナリストとして出場され、熟練のコント職人として知られるザ・ギース。
7年前に偶然観たライブでその魅力を知り、毎年行われる単独ライブに通い、2020年10月に開催された〈スペース・ラグジュアリー・コント〉では4公演すべて観に行くほどいつの間にかハマってしまいました。
最近ではYouTubeでのトーク配信も好評なザ・ギースのお二人に、好きな店のことを存分に語っていただきました!
その熱をできるだけそのままお届けしたく、前編・後編にわけてご紹介します。
前編は高佐一慈さんの好きな店の話をお届けします!
ザ・ギース高佐さんの好きな店
キングオグコントで優勝したら貸し切りたいほど好き!東中野の〈東灯〉
−−−−高佐さんの好きな店を3つ教えていただけますか?
高佐:東中野にある〈東灯〉は、どのメニューもすごく美味しいんですよ。つまみ系から、ピザやパスタも充実していて。特に僕は冷奴がおすすめです。
高佐:(力を込めて)この冷奴が濃厚で、ほんとに豆腐かっていうくらい美味しくて…!
一同:ほおぉぉ…!(高佐さんの熱に圧倒される)
高佐:その冷奴には、塩やわさびの他に、きゅうりとか野菜を角切りにしたものが添えられていて。冷奴と一緒に食べても美味しいんです。
あまりにも美味しくて、店員さんにどこの豆腐か聞いたら、東中野にある小野田豆腐店という店で。後日そこへ行って買って食べるくらい、美味しかったですね。
高佐:パスタもあんまり聞いたことないような種類があって。
オレキエッテっていう、貝のような形をしたショートパスタを使ったメニューがあって。ドライトマトとガーリックのソースも美味しくて。
高佐:どのメニューも全部美味しいし、季節ごとにメニューがちょこちょこ更新されるんですよ。その辺の努力というか、アグレシッブさもいいんですよね。店員さんもめちゃくちゃ素敵な方が多くて。
高佐:いつかキングオブコントで優勝したら、〈東灯〉を貸切にしてみんなで打ち上げしたいなと思ってるんです。
高佐:〈東灯〉はランチのテイクアウトもやっています。ちょっとお洒落な雰囲気もあってオススメですね。
原宿の穴場カフェ〈カフェな。〉
−−−−2つめのおすすめを教えてください。
高佐:原宿の〈カフェな。〉です。明治通りと竹下通りの交差点のそばにあって。
あの辺、すごく人通り多いじゃないですか。それにも関わらず、ちょっと落ち着いた雰囲気のカフェです。
高佐:〈カフェな。〉は、ビルの3Fにあるので、原宿の街を見下ろすことができて。レトロとまではいかないけれど、落ち着いて居られるカフェですね。店内で展示もやっていて。……もしかして、知ってました?
−−−−バッファロー吾郎A先生がTシャツ展をやっていらしたというのをSNSで拝見しました。
高佐:そうです、そのカフェです。隠れ家的な雰囲気が良いんですよね。
〈カフェな。〉は昼からお酒も飲めて、特にマンゴーホッピーが美味しいんですよ。ホッピーにマンゴーリキュールかマンゴージュースをいれて飲むっていう。で、フードもたくさんはないですけど、カレーが美味しくておすすめです。
高佐:混んじゃうと嫌なので、あんまり知られたくはないんですけど(笑)。原宿へ行った時はおすすめです。
お気に入りの喫茶店は新宿三丁目〈カフェアルル〉
−−−−3つめの好きな店はどこですか?
高佐:〈カフェアルル〉は、けっこう古い喫茶店で。
高佐:猫好きにはたまらない店で有名ですよね。看板ネコ2匹に会いに来るお客さんもいて。僕は、ネコが近づいてきてもちょっかい出さないですけど。ネコのほうも、空気を読んで苦手そうな人のところには来ないんですよ。僕からそういうオーラ出てるからか、テーブルに乗ってきたりはしないですね。
高佐:ここのドライカレーが美味しくて。なにか注文すると、ミニバナナとジャイアントコーンがつくおトクな感じもよくて。
居心地よくて長居できるし、マンガもずらっと並んでいるのでマンガ読んでいる人もいます。居心地よくて長居もできて、Wi-Fiはないですけど、電源もあって。
もともと有名な店なので、混んでいて入れない時もあるのですが、〈カフェ アルル〉は好きですね。
−−−−以前〈タカサ大喜利倶楽部〉で取材させていただいた時も、「アルルが好き」って仰ってましたね。
高佐さんが知りたい店の情報とは
−−−−ところで、高佐さんは行きたい店の情報を探したりします?
高佐:どこも禁煙になってきてるので、喫煙可能な店を見つけたらメモしてます。
−−−−確かに今、喫茶店も禁煙の店が増えていますもんね。
行きつけの店に通いたいけど通いたくない理由とは
−−−−高佐さんは、どういうお店に惹かれますか?
高佐:僕は、「こういう店」っていうのはあんまりないですね。基本的にうるさくなくて、長居できるところだったらいいなって。
あと、なんかその、常連さんになりたくないじゃないですか(笑)。
−−−−その気持ち、ちょっと分かるような気がします。
尾関:そう?(※編集の都合上、ここで急に尾関さんを登場させてしまいましたが、ここからの2人のやりとりをお楽しみください)
高佐:行きつけに家族経営でやってるラーメン屋さんがあって。美味しいからよく行くんです。
最初の頃はよかったんですよ。じょじょに『毎度!』とか『いつもありがとね!』って言われると、『ああっ!顔覚えられてるな』って。
尾関:あー、わかるな。それは嫌だなぁ。
高佐:それが嫌で、例えば今まで月2のペースだったところを月1にしてみたりしちゃいますね。なので、「本当は知ってるけど、初めてのお客さん」みたいな対応してくれる店がいいですね。
尾関:そっとしておいてほしい、みたいなね。
高佐:「毎度!」とか「いつもありがと!」って言われると、他のお客さんに「あの人いつも来てる人なんだ」って思われるのが嫌で。
尾関:そんなに興味持って見てないよ(笑)。
高佐:そうなんだけどさ。その点ドトールはね、初めてみたいな対応してくれるからいいですね。(※ドトールについては後編でたっぷりご紹介します、たぶん)
尾関:なぜならドトールには毎日大量の人が来てるからな。でも裏で名前つけて呼んでるんだよ、また来てるよって。
高佐:あだ名つけられてるんだろうな(笑)
−−−−しょっちゅう来る人って店員さんも覚えちゃいますもんね。
ザ・ギースはファミレス4時間まで芸人?
−−−−店で体験した忘れられないエピソードとかありますか?わたしは、喫茶店のママの話を4時間くらい聞いていたことがあって。
高佐:4時間も⁈ よく付き合いましたね…。
尾関:この辺りは名物店長みたいな方がいそうですもんね。
高佐:僕の忘れられない体験は、家の近所にあったデニーズでの出来事ですね。昔はファミレスも24時間営業だったので、たまに行ってたんです。深夜だとお客さんがいないので長居できるんですよ。そこの店長さんがけっこうデキる人で。
ある日、店長さんが僕のテーブルに来て、「ギースさんですよね?応援しています」って話しかけてくれて。こちらも「ありがとうございます」って答えたら、店長さんは店へ戻っていかれたんです。
そうしたら、5分後にまた来て、「すみません、4時間以上の滞在はご退出お願いしております」って言われて(笑)。
いやぁ、気恥ずかしくて…!できる人なのよ、店長さん。でもね、店長さんにも葛藤があったと思うのよ。やっぱりね、「応援してる芸人さんだし……でも!」って。
尾関:それはそれでルールだしね。
高佐:バイトにも示しがつかないし。でも俺がもう少し売れてれば……例えば東京03さんだったら、全然長居していいだろうし。
尾関:そもそも東京03さんはデニーズに行かないだろ、多分。わかんないけど。
高佐:よく聞くじゃない、ファミレスでさ。もう、ツーカーの仲になってて。
尾関:まあね。
高佐:だからもう少しちゃんと売れてたら、退出されなかったんじゃないかなって。
尾関:俺らは4時間までの芸人なんだよ。
高佐:そうなんだよ、結局デニーズのルールに弾き飛ばされるくらいの芸人ってこと(笑)。それはすごく印象に残ってます。
−−−−それは記憶に残りますね(笑)。
高佐:その店でもう1つ、忘れられないことがあって。40代後半くらいのスタッフさんがいて。その方、すごく腰が低い方なんですね。
ファミレスなので、時間帯によってスタッフが交代するじゃないですか。その方が仕事終わりで「お疲れさまでした」って出てきたときの格好が、めちゃくちゃパンクだったんですよ!
なんかね、それが「この人ホントはそういう人なんだ」って。接客態度とか腰が低いのに、すごいパンクロックな服装だったので、ギャップがおもしろかったですね…!
−−−−確かに、スタッフの方の私服見ちゃった時、どきっとしますよね。
卓球バーが恋しい高佐さん
−−−−最後の質問です。今はもう閉店したけれど、思い出に残っている店はありますか?
高佐:VICTAS SHIBUYA(ヴィクタス渋谷)っていう、卓球ブランドショッ
店の奥にTHE RALLY TABLEっていう卓球レストランがあって、メニューも豊富で。地下へ行くと卓球場があるので、卓球の経験がない人と一緒に行って、卓球台で汗かいてからごはん食べてもいいですし、経験者と地下でがっつり試合してもいい。立地も良かったですし、あそこはよかったですね。
(※編集注:VICTAS SHIBUYAは2021年2月28日を以ってクローズとのこと
−−−−たくさんお話し聞かせていただき、ありがとうございました!
常にストイックで多才な高佐さん
スマートで端正な印象の高佐さん。
常にストイックで、「笑い」のためなら何でもこなしてしまう器用さがありつつ、単独ライブ恒例の一発ギャグコーナーでは、スイッチが入ると延々とネタを披露し続けるなど、相方の尾関さんですら止められない人間味溢れる姿を見せることも。
高校生の頃には、大喜利が好きすぎて自身で作った大喜利テストをクラスメイトに解いてもらい採点するなど、エピソードの節々から情熱的な姿勢が垣間見られます。
両極端な印象がありながら、根っこに見える純粋なキャラクターがあるからこそ、コントで見せる様々な役柄がするりと入ってくるのかな、と個人的には感じています。
2020年のキングオブコントでは、「コントでやったらおもしろそうな楽器」という点で選ばれたハープの演奏が入るネタを披露し、「ハープ芸人」としても話題になりました。
コントで魅せるキレのある台詞まわしと佇まい、そして多才な芸。(手品にパントマイム、ダンス、ピアノの腕前も素晴らしいんです…!)
これからもどんなことで私たちを魅了してくれるのか、とても楽しみな芸人さんです。
ザ・ギース高佐さんの今後の活動
こちらが事前にお渡しした5つの質問に対して、携帯のメモを見ながら丁寧に答えてくださった高佐さん。
好きな店に通いたいけれど、常連になりたくないという気持ちは、わたしもなんとなく共感してしまいました…!
そんな高佐さんの繊細さの片鱗は、ザ・ギースの公式YouTubeチャンネルでのトーク配信やPLANETSのnote連載「誰にでもできる簡単なエッセイ」でも感じられるので、ぜひチェックを。
また、昨年のキングオブコントがきっかけで始まった銀座十字屋とのハープレッスン企画の今後にも注目です!
後編は尾関さんの好きな店をご紹介します!
と、いうことで新企画〈あの人の好きな店〉、楽しんでいただけましたでしょうか?
記事のシェアや感想などをSNSで投稿していただけると、今後の企画の励みにも指標にもなりそうなので、ぜひお願いいたします〜!
後半の尾関さんの話もお楽しみに!あんな店やこんな店、みんなが行ったことのあるコーヒーチェーンの秘密?も。二人の掛け合いが炸裂する後編、現在執筆中です!
ザ・ギース公式サイト
ザ・ギース公式YouTubeチャンネル
企画・編集・執筆:チヒロ @kamometomachi (かもめと街)
写真:ニシムラタクヤ @takcahso (NO.26)
後編、公開しました!
ザ・ギースはドトール芸人⁈メニューの知られざる秘密に大興奮!〈あの人の好きな店〉vol.1ザ ・ギースさん(後編)