街のことは、その街にある店で聞くのがいちばん。
いつ雨が降ってもおかしくないような、どんよりした曇天が続く梅雨。
せっかくなら紫陽花を見に行こうと、文京区にある白山神社へ向かった。
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ぽつぽつと、空から雨粒がこぼれ落ちてきたので、ふらっと見つけた喫茶店へ入る。白山駅の近くは急坂が続き、下町育ちのわたしの目には新鮮に見える風景。
急坂を登った左に見えてきた古いビルの2F。廊下に貼られたタイルも風情があって味わい深い。
スナックのような、中が見えないスリル感を味わいつつ、勇気を出して扉を開けると、穏やかそうな夫婦が迎えてくれた。
梅雨の蒸し暑さが堪えきれず、メニューにあったコーヒーゼリーを注文すると、今は切らしていると。それならば、とアイスカフェオレを注文する。
山小屋のランタンのようなライトに、やわらかなオレンジの光。本棚にある「深夜食堂」を片手に休憩していると、ぽってりとしたグラスになみなみと注がれたアイスカフェオレが到着した。
帰り際に、お店のことを聞いてみると、年くらいやっているとか。
白山神社のあじさい祭りが始まった頃の話も聞けた。初めの頃は鉢植えを置いているくらいの規模だったのが、いまや神社を囲むほどの紫陽花が咲き乱れる名所になったとのこと。近いとなかなか見に行かなくて、とも。
ほんの数分だったけど、そんな風に世間話ができることに幸せを感じる。またのんびり遊びに行きたいな。
純喫茶で東京をめぐる旅ー 白山〈貴苑〉店舗外観
白山駅のまわりには、気になる喫茶店がちらほら。〈ケニヤン〉へ行こうと思ったけど、なかなかタイミングが合わず、開店前だったのでこちらへ。
木の看板がいい感じ。ビルの2階にあるので、中が全然見えないのもいい。
うっすらと弧を描くタイル。
白山といえば、東洋大学。Googleマップの口コミを見ていたら、学生の頃通っていたという方もいました。それにしても、入口からも中の様子が全然見えない。スナックっぽいな。
純喫茶で東京をめぐる旅ー 白山〈貴苑〉店内
勇気を出して入ってみたら!素晴らしい空間が広がっていました。
心地よい音量で流れるクラシック。
咲きかけの花のようなペンダントライトもかわいい。
本棚の横にある棚、めっちゃくちゃ実家感あっていいな…。ぬいぐるみから日本人形らしきもの、どこかのお土産っぽいコレクション。
本棚にあった〈深夜食堂〉を読みながらカフェオレを待ちます。
かなり前にちらっと読んだときはあんまり響かなかった気がするのだけど、今となってはどうして読まなかったのだろうと後悔するレベルでした。
どういうチョイスで置いてるのか分からないけれど、ここで出会えたのが嬉しい。
純喫茶で東京をめぐる旅ー 白山〈貴苑〉メニュー
ランチメニューの「ポーク生姜焼き定食」に惹かれつつも、今日は時間がなかったのでアイスカフェオレに。
どこにでもあるメニューだけど、こんな風にぽってりと洋梨のようなグラスに、ふわふわの泡をそそぐセンスに品を感じました。蒸し暑くて倒れそうだったから、ちょっぴり甘めのカフェオレに癒されました。
ああ、でも。生姜焼き定食のことが忘れられないから、また遊びに行こう。
純喫茶で東京をめぐる旅ー 白山〈貴苑〉店舗情報
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