カヤバ珈琲で過ごした休日の早朝。
なにやら向かい側に見える、大きな建物。あれはなんだ?
何度も通っていたものの、「他にも寄りたい場所があるから」とスルーしていたのですが、古い建物に興味が出てきたので覗いてみることに。入場無料だし。
谷中散歩コースでおすすめ。〈下町風俗資料館付設展示場〉施設外観
どーん!
こちらは江戸時代から谷中で酒屋を営んでいた〈吉田屋〉の建物。この建築自体は明治43年に建てられたものとのこと。もともとの建物はかなり大きかったようで、帳場(会計する場所)だけ移築したそうです。
「え、帳場だけって……もともとの建物どんだけ大きかったの?」と思ってたら、昔の写真がありました。
確かに大きい…!
このような建物は出桁(だしげた)造というそう。瓦の部分が前にせり出しているデザインにしているのは、立派に見せるためなんだとか。確かに風格がありますよね。
こちらは上野にある〈下町風俗資料館〉の展示場として無料開放されています。係員さんが丁寧に説明してくれるので、建築のみならず当時の文化への理解も深まります。
場所的にはこんなところ。上野駅の公園口からのんびり散歩がてらまわるとよいです。
恥ずかしながら、わたしは最近まで歴史にもまるで興味がなかったので、ほんとに無知なのですが、そんな人にも施設の方は優しく教えてくださるので、なんでも聞けちゃう。ありがたい…!
谷中散歩コースでおすすめ。〈下町風俗資料館付設展示場〉施設内
〈旧吉田屋酒店〉は昭和61年まで営業されていたそう。ああ、行ってみたかった。
館内では、樽や枡、とっくりや当時のポスターなどがずらり。
パソコンなんてない時代。なのに、どうしてこんなに美しい広告が作れるのでしょうか。お酒は大して飲めないのに、樽、看板などに描かれたロゴを見ると興奮しちゃいます。
酒屋では砂糖や味噌などの調味料も量り売りで売っていたそうで、砂糖の種類もいくつか揃えていたみたい。
今でも古くからやってる酒屋さんへ行くと、調味料や日用品が置いてあったりしますもんね。地域のコンビニ的な場所でもあったのかな。
お寿司やさんが描いた風景画がすごい
酒屋の建物だけでも充分見応えあるのですが、実はもう一つ、見てほしいものが。
圧巻の風景画がずらり!
寿司屋の店主さんが70歳を過ぎてから描き始めた風景画が展示されています。
キャンバスはなんと、かまぼこ板。寿司屋でいらなくなったかまぼこ板を使ったアート作品です。なんだか森永ハイソフトのおまけカードみたいで集めたくなる雰囲気。
作品から昔の情景を思い浮かべるのも風流ですね。
係員の方から、上野公園についての解説もお聞きしました。
江戸の街は、京都の土地の風水を真似てできているそうで、もともと上野公園から不忍池までの広大な土地は、寛永寺の土地だったとか。(聞き覚えですが、こないだテレ東の「美の巨人」でもやってた)不忍池は琵琶湖に見立てているそうですよ。知らなかった~!
ここで、昔からふんわり感じていた疑問が解けました。
「上野公園、なぜお寺と五重塔が離れているのか」問題。もとは同じ寺の敷地だったんですね…!あれ、歴史おもしろいな…。
そう思えたのは、こういう場所で丁寧に説明してくれる方がいらっしゃるからというのも大きい気がします。知るっておもしろい。
それにしても、下町は空襲でも焼け野原になったと言われている中で、こんな建物が残っているのは奇跡なのかもしれません。
谷中はそんな建物があちこちに見られるようなので、ちょっとずつ調べていきたいなと思っています。
谷中散歩コースでおすすめ。昔ながらの商家建築を見学できる〈下町風俗資料館付設展示場〉施設情報
〈カヤバ珈琲〉でモーニングを。
谷中のモーニングでおすすめ。〈カヤバ珈琲〉であつあつの玉子サンドを。