誰かに伝えるほどのことじゃないけれど、「そうだよね」と共感してもらえたら、気持ちが安らぐ。
益田ミリさんのマンガは、そんな作品。
ささやかな出来事だけど、心が動いた瞬間を共有できる幸せ。
そして、「こんな風に思ってしまう自分はなんて底意地が悪いんだろう」と責めてしまう弱い心にも、「あ、それみんな思ってることだから大丈夫だよ」とさりげなく教えてくれる。
毒を吐く日があってもいい。
毒を我慢し続けたら、吐き出されない毒は自分の中でどんどん濃縮されて、いつしか自分を追い込んでしまうから。
とは言え、誰かに毒を吐き続けるのも違う。
思ってても吐き出したくない毒もある。
そういう毒を、時にそっと解毒してくれるのがミリさんの本。
「そうだよね、そう思う日があってもいいよね」と。
今日はそんな益田ミリさんの「ほしいものはなんですか?」のことばをご紹介します。
益田ミリ「ほしいものはなんですか?」のことばに解毒される休日
物語の主人公は3人。
40歳を迎える専業主婦を中心に、娘と、夫の妹が登場します。
「自分が薄まっていく」のを感じる「母」という役割の主人公と、独身で仕事を頑張る夫の妹。
まずは独身の妹の言葉。
刺さりすぎる…
「今の仕事はする人がいないと会社が困るんだけどね
でも、わたしが休んでもなんとかなるんだ〜
なんとかなるように心を配って仕事をしていることはなかなか評価されないんだけどね〜」
ほしいものはなんですか?/益田ミリhttps://t.co/8KmDSkfQhn
#かも街books— チヒロ@かもめと街 (@kamometomachi) 2018年5月11日
息苦しそうな大人たちを見て、冷静な疑問を投げかける娘。
大人って 「かわいそう」に振りまわされてる
かわいそうってなんなのかな 「かわいそう」が怖いのかな?
引用:「ほしいものはなんですか?」/益田ミリ
その言葉にハッとする、読み手のわたしがいました。
わたしには、ほしいものがないんだったほしいものがないって幸せなことなのかもしれないって言ったのはわたしなのになんだろう?この足りない感じ「でも、みんな、きっとこう言うんだ」「贅沢な悩み」だって「うるせーんだよ」引用:「ほしいものはなんですか?」/益田ミリ
無意識のうちに戦わされ、比べられ、ほんとうはどこかで満たされていないのに、そんな気持ちは贅沢だと思われている主人公のつぶやき。
みんなが教えてくれるわたしが幸せだってこと言い聞かされてる気持ちになるのはどうしてなんだろう?引用:「ほしいものはなんですか?」/益田ミリ
女性でなくても、まわりの人に合わせてつい我慢をしてしまう人には、なにか気づかされる部分がある本だと思います。
特に、誰かと比べたり、気づいたら傷つけていたり傷つけてしまったりすることに敏感な人はきっと助けられるはず。