「いつか来る日」を想像する本

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本を読むことは、誰かの体験を疑似体験できること。

これから起こりうることを想像しておくというのは、実際に起こったとき用の心構えができるような気がしています。それの手がかりになるのが読書。

今日はコラムニストのジェーン・スーさんの新刊をご紹介させてください。

 

生きるとか死ぬとか父親とか/ジェーン・スーを読んだ感想

 




コラムニストのジェーン・スーさんの新刊は、お父様とご自身のことを綴ったエッセイ。お母様に先立たれた、残された家族(父と娘)の葛藤と愛の物語。

自分の両親が若かった頃、どんな暮らしをしていたか、どんな体験をしてどう感じたかを聞く機会ってなかなかないんですよね。照れ臭いし、聞くタイミングもなんとなく難しい。

でも、知らないともったいないなって昔から思っていて、ちらほら話を振ったりしています。わたしたちが産まれる前の、体験し得ない話。父や母である姿ではない部分を知るって、素敵なことだと思うんです。

 

スーさんのお父様はおそらく、端から見るとチャーミングで誰からも愛されやすい存在。けれど、身近な家族にとっては破天荒ぶりに苦心していたことも見受けられます。

そんなお父様の話す、戦時中のことや自営業で家族を必死に養っていたときのこと。そして、時が経ったからこそ受け止められる(全てではないにせよ)スーさん。

自分の両親の「両親でなかった頃の姿」を、本人の口から聞ける時間には限りがあります。それに気付かされたのがいちばんこの本を読んでよかったところ。

涙なしでは読めないエッセイ。あと、いつものスーさん節の鋭いツッコミも健在。大好きです。急に口が悪くなるところも好き。夏の読書にぜひどうぞ。

 

 

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