「昔、このあたりは封切館があって、映画を見に行くついでにここで釜めしを食べる人が多かったんだよ」
浅草にある「釜めし 春」に訪れたときの父の言葉。
賑やかな土曜日の新仲見世通りの角を曲がり、見えてきたお店は、きっと何度も目の前を通っていたはずなのに「こんなところにあったのか」と思う。
実家で暮らしていた子どもの頃は、外食は月に一度のビッグイベントだった。決まって行くお店は焼肉屋さんか回転寿司だったし、地元の名店という名店をほとんど知らない。
祖父母が上京したとき、受験に合格したお祝いのとき。そんなときに連れて行ってもらえるくらい。
「もっと連れて行ってくれてたら、うんちく語ったりできて良かったのになぁ」なんて、浅はかなわたしは思う。
社会人になってからは、日々の仕事が目まぐるしいのと、地元や実家の息苦しさから離れたくて、下北沢とか渋谷へ居場所を探した。
「へぇ、浅草で育ったんだ!おすすめのお店教えて!」と言われると、逃げ出したくなった。
それなのに。
今になって、浅草への興味が尽きない。詳しくないからこそ、いま感じ取れることもあるような気がする。
さいわい、うちの父は散歩オタクで街のうんちくを語り出したら止まらない人だ。
大人になって、そのうんちくを聞けるのが楽しくて仕方ないのは、父が地元を愛しているというのが伝わってくるからなのかもしれない。
今日は、大正時代から続く釜めし屋さん「釜めし 春」をご紹介します。
浅草のおすすめグルメ「釜めし 春」はこんなところ
「釜めし 春」は大正15年(1926年)創業のお店。
浅草うまいもの会のサイトによると、関東大震災の時に、このお店のおばあさまが「釜さえあればご飯が食べられる」と思いついたのが釜めしの始まりなんだそう。
釜めしの由来が浅草にあるの、知らなかった・・・!
昭和23年の店舗の様子はこんな感じ。(メニューに載っていました)
風情があって素敵!
当時は木造2階建て、席数70席ほどのお店だったそうなのですが、今では5階建てで客席200席の大きな店舗になったそう。
1階はテーブル席、2・3階は座敷席とテーブル席で宴会にも使われるのだとか。土曜日の夕方に伺ったところ、すぐに2階へ案内されました。
この広さなら、浅草散歩でランチでもディナーでも、わりとすぐに入れそうな気がして安心。
座敷席があるので、子ども連れも大丈夫。今回は両親と夫と妹家族(2歳の甥っ子も)と行きました。
「釜めし 春」で食べたもの
一号釜で炊き上げるスタイルの釜めしを始めたのが、このお店なんだとか。出汁を使わずに素材とお米を一緒に炊いて、旨味を最大限に引き上げるそうです。
だからなのか、今回食べた2種類の釜めしはとても優しいお味。
まず先に出てきたのは、お茶と漬物。
この湯のみのデザイン、ステキ・・・!
たくあんの黄色と、豆皿のブルーの組み合わせがいいなぁ。
釜めしは炊き上がるまで30分ほどかかるそうなので、時間に余裕を持ってどうぞ。
おつまみをつまんでいたら、釜めし登場しました!
特選釜めし。いくらやかにがふんだんに入ったもの。
ふたを開けるとふわっと香る、ごはんのいい香り。たまりません!
実は子どもの頃、釜めしが好きではありませんでした。なんとなく、和風の味が濃すぎて苦手だったんですよね。
でも「釜めし 春」の釜めしは素材の味が生きていて、こんなに優しい味なのか!って驚きました。
お米も国産米でこだわって炊き上げているそうです。
量が少し多いので、大人数で行くときは少なめに注文する方がもしかすると良いかもしれません。
もうひとつの五目釜めしは、写真撮り忘れました・・・!ごめんなさい。
他に注文したサイドメニューの一部。
お魚もきちんと美味しかった・・・!
そうそう、釜めしはお土産用も販売しているそうなので、家族へ浅草のお土産に買って帰るのも良いですね!炊き上がりに時間がかかるので、先に注文しておく形でどうぞ。
お腹いっぱいになったら、夜の仲見世を通りながら駅へ向かいましょう。
うん、もう一軒?神谷バー行ってみたいって?
そうね、また今度行ってみようかな。
「釜めし 春」のおすすめポイント
ということで、わたしがおすすめしたい「釜めし 春」のポイントはこちら!
- 素材の味が生きている、優しい釜めしが美味しい!
- サイドメニューもどれも美味しい!(特にお刺身)
- 店内が広いので、ゆったりとご飯が食べられる
ぜひ浅草散歩のランチやディナーにどうぞ!
釜めし 春 浅草店の店舗情報・アクセス
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