• エッセイ

誰でも自由に歩ける、ということ。

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ポートランドの街は、バリアフリーが進んでいる。

世界をたくさん旅したわけではないから、このレベルが他と比べてどれほど優れているのかは分からない。

坂は多いけれど、とにかく階段とか段差があまりない。

あったとしても、すぐ隣にはスロープが併設されていたり、バスの入口には段差をなくすための自動乗降スロープや車内にも乗りやすい工夫がされている。

どんな人でも路面電車とバスで、どこへでもアクセスしやすい街。

 

地下鉄がない分、やたらと階段を上り下りしなくて済むのも、わたしのように足に負担がかかる人も安心して散歩しやすいのだ。

東京は地下鉄が発達してるけど、バリアフリーなんてまだ夢のような話で、乗り換えがたくさんあるルートを使う日は気が重たい。

段差が高くてこわい場所や、乗降客が多いところをどうしても通らなきゃいけないとき。急いでる人たちの中でドキドキしながら、周囲に気を使いながら、一段ずつおそるおそる階段を下るときもある。

ポートランドの街を歩いていると、電動車いすの人をよく見かけた。東京で見かけるよりはるかに多い気がする。

なんてことない顔して、車いすをギュンと操作して坂道をのぼっていく。

スーパーなどの大型店は通路も広く、車いすでも充分通りやすく工夫されている。

 

 

路面電車やバスの中でも車いす用のスペースがきちんと取られていて、乗降の際は運転手さんが手伝って誘導する。

こちらはバスの車内

こちらは路面電車

 

他の乗客の人を見ると、その間の待ち時間も、せかせかしてもいなくて、特別な目で見ている様子もない。

東京もこうだったらいいのに、と正直なところ思うけれど、規模感も人口も違いすぎる都市と比べても仕方がない。

けれども、あんな風に自由に動きまわることに負担がかかる人も、ふつうに暮らしやすい街って素敵じゃないか。

そんな東京も、ほんの少しずつ暮らしやすい工夫というか意識が増えてきた気がしている。

そう思うのは、自分が見知らぬ他人にほんの少し甘えられるようになったからかもしれないけれど。

「これはしんどいから、助けてもらってもいいですか?」と言えるように、こっそり訓練している。

暮らしやすい街の仕組みが増えたらいいな、意識が変わったらいいなと思う反面、車いすで颯爽と街を歩いている人を見るたびに、背筋をのばしてちゃんと歩こうと思い直すきっかけになった。

もちろん、街の整備とか整えていってほしいところはたくさんある。けれどすぐには難しいこともたくさんあるから、まずは自分の意識から、ほんの少しずつ。

ポートランド旅日記 01

 

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