「いらっしゃーい」と、独特の言い回しでお客さんを迎えるのは〈神田まつや〉。
そういえば、日本橋で働いていたときによく行った〈藪伊豆総本店〉の女将さんも、不思議な抑揚をつけて出迎えてくれたのを思い出した。あの呼びかけは伝承されていくのだろうか。
〈神田まつや〉は創業明治17年。趣のある建物に圧倒されて、何年も前から気になっていたのに入れなかった。この一角は奇跡的に東京大空襲で焼け残ったそうで、古い建物がいくつも残っている。
勇気を出してガラリと入ってみると、平日の14時過ぎだというのにお客さんがたくさん。
白い襟に紺のワンピースを着た制服姿のお母さんたちがテキパキと注文をさばき、活気にあふれた店内。
有名店でも、混んでいても、ひとりひとりのお客さんをみんなが見ていて、お水が減っていたらすぐに来てくれるし、わからないメニューについて質問しても丁寧に優しく答えてくれる。
隣ではおじいさんがひとりでぬる燗を注文し、向こうでもビールを片手に過ごす姿が見える。
威風堂々とした佇まいの建物だけれど、入ってみれば街のお蕎麦やさんと変わらず温かい時間が過ごせる。
お蕎麦を食べた後は〈竹むら〉で揚げまんじゅう食べようかな。
神田のおすすめランチ〈神田まつや〉で手打ちそばを 店舗外観
グルメ好きな方には、このエリアはたまらないのではないでしょうか。老舗の名店がこれでもかというほど並ぶ神田須田町エリア。
秋葉原駅と神田駅の中間に位置する〈神田まつや〉は、手打ちそばをいただける蕎麦屋さんです。
建物は大正14年(1925年)に建てられた木造2階建て。東京都が選定する歴史的建造物です。
ビルとビルに挟まれてぎゅっとしてるのも愛おしくないですか…!残っていてくれてありがとうと思わざるを得ません。
右手が入り口、左手が出口になっていて、その上には松の欄間飾りが。
よく見ると、その飾りの中で使われているすりガラスもそれぞれ柄が違う…!真ん中の欄間飾りにも葉っぱのようなモチーフのすりガラスが使われているので見てください。
入店する前にアルコール消毒、それに検温もされています。ほぼ満席だったけど、きちんと間隔を開けていて、木の間仕切りもありました。(もともとあったのかも)
神田のおすすめランチ〈神田まつや〉で手打ちそばを 店内
出口にいちばん近い端のテーブルは、店が一望できる良い席。
蝉みたいな絵が気になる。
大きなこね鉢、迫力があります。
暖簾に映る木漏れ日も心地いい。
神田のおすすめランチ〈神田まつや〉で手打ちそばを メニュー
〈神田まつや〉のメニューはこちら。見づらくてごめんなさい。
わたしはとろろそばが大好きなので「そばとろ(1000円)」を。
手打ちの蕎麦にふわふわとろろのつけ汁。艶のある黒いお盆が蕎麦の美しさを引き立てます。わたしは下町育ちですが、辛すぎるつけ汁は苦手なのもあって、とろろを選びがち。でも、ここのはそんなに辛くないかなと。
家族は夏のメニュー、すだちそばを頼んでいて、そちらも美味しかった!
食べ終わって出ようとすると、天気雨がザザッと。
蕎麦屋から見える雨の神田もいいな、なんて思っちゃいました。神田グルメの旅、続けます。
神田のおすすめランチ〈神田まつや〉店舗情報
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