特別な朝が過ごしたくなった。
単調な日々に心が疲れて、「明日の朝は楽しんでやる!」とカフェの予約ボタンを押す。
トクベツ感を醸し出すために、たいした距離ではないのにタクシーを捕まえて乗り込む。ばかみたいだとは思っているけれど、今日くらい許してほしい。
そうして着いたのは、谷中の〈カヤバ珈琲〉。だいぶ前の正月休みに、友人と着物を借り、谷中散歩した日以来だ。
ふらっと通ると大抵並んでいて入れない印象だったけど、いつからか席の予約ができるようになっていた。
並ぶくらいなら、と諦めていたところ、これはありがたい。「予約しないと入れない」だと辛いけど「予約もできる」は選択肢も広がる。
十字路の角に佇む2階建ての古民家は、1階と2階で異なる景色を見せてくれる。
今日は1階。窓から見えるのは昔ながらの商店建築を残した施設。それから、目の前にある信号。
道ゆく人の姿が思った以上に近く感じられるのは、昔の建物だからだろうか。公共の道路と店が、壁によって隔たれていながらもどこかシームレスにつながっているような気がする。
スマホの電源をオフにして、目の前に運ばれてきたたまごサンドにかぶりつく。
食べながらスマホは見ないと決めている。目の前の食べ物に意識をしたいから。
朝日がきらりと差し込み、コーヒーの表面には鏡写しになった生垣が光っていた。
谷中のモーニングでおすすめ。〈カヤバ珈琲〉であつあつの玉子サンドを。店舗外観
朝日がさんさんと差し込む、カヤバ珈琲の朝。完璧な佇まいです。
「たいとう歴史都市研究会」のサイトによれば、大正5(1916)年に建てられ、ミルクホールやあんみつ屋などを経て、昭和の時代に珈琲店になったとのこと。
もともとの喫茶店の雰囲気はわかりませんが、このままのデザインだったのではないかと思うほど、古き良き佇まいを感じさせます。平成20年に建築家の永山祐子さんが改修を手がけたそう。
元々の店主が亡くなり、有志のかたの希望によって、新たな命が吹き込まれた喫茶店。
そういえば、有楽町の〈はまの屋パーラー〉も、以前の店主が閉店を決めたものの、常連さんの熱い要望であたらしい運営の方々に引き継がれたという経緯を聞いたことがあります。
どこにでもある後継者不在問題、こんな風に引き継がれて残るのは素晴らしいですね。
この黄色い看板、ステッカーにしてもらえませんかね…欲しい。喫茶店グッズ作りたいなぁ。
谷中のモーニングでおすすめ。〈カヤバ珈琲〉であつあつの玉子サンドを。店内
1Fは、街との距離が近くて、のんびり眺めるのにちょうどいい。2Fは座敷でちゃぶ台がありましたが、今もそのままなのかな?
すりガラスに、八角形のガラスを模した木製の扉。
朝だから街も静かだし、店へ並ぶ人もいないので、気兼ねなくのんびりできます。ちなみに予約は、公式Instagramのリンクから予約できますよ。行く日が決まっていたらぜひ予約を!
谷中のモーニングでおすすめ。〈カヤバ珈琲〉であつあつの玉子サンドを。メニュー
〈カヤバ珈琲〉のモーニングメニューはこちら。サンドイッチとトーストがメインで、ジュースまたはスープとサラダが選べます。人気メニューのたまごサンドも朝から食べられますよ!
デザートもドリンクも幅広く充実しています。あんみつがあるのは、過去の名残でしょうか。
ということで、たまごサンドに。ふわっふわのとろとろ。パンからたまごの熱さが伝わってくるほどの出来立て!ディルとからしマヨが入っているからなのか、思ったより軽めの食べ応え。おいしい。
追加で本日のコーヒーを。
この日はフグレンのエチオピアでした。口あたりがマイルドでフルーティー。なんだかこの空間でフグレンのコーヒーに出合えるの、ちょっとお得な気がしますね。
早起きできたからこそ味わえる、特別な朝。
店を出てからは谷中をぐるぐるして、上野駅までのんびり歩きました。おすすめ散歩ルート、そのうちアップしますね。