「お待たせしました、プリンアラモードです」
と、運ばれてきたうつわを見て思わずため息が漏れた。
プリンアラモードのうつわは、誰がどんな風に開発したのだろう。夢をのせた豪華客船のような、お子様ランチのデザート版のような。
とにかく、ごちそうであることは間違いない。
ここ数ヶ月は、どうしてもやりたいことがいくつかあって、始め方もわからなかったものの、重い腰を上げて、まわりの励ましを受けながらダメもとでグイグイ進んだ。
まだ終わっちゃいないし、全然満足してないけれど、起きている時間は常に何か考え続けていたから、ついに息切れを起こした。
いつもなら前のめりになれる新しいことも、「一旦、休みたい」と思ってしまう。常にコップの水は満杯で、水が溢れかえっていて収拾がつかない。
思い切って、今日は全部休もう。
まだ水曜日だけれど。平日に休むの、土日も休んでいるようで全然休んでないのに、いまだに罪悪感がある。でも、午後だけでも。
そうだ、観たかった映画を劇場で観よう。その前に喫茶店でも。
人気の店には、行きたいと思っていてもなかなか足が向かないのだけれど、今日こそ行ってみよう。
平日の夕方でも少し並んだ。ようやく座れた席では、隣でカップルが駆け引きの会話を続けていて、先行きが気になって仕方ない。
ひとりで静かに過ごす人も多く、BGMも控えめな音量。ほぼ満席だけど、どこか落ち着いた空気が漂っているのが妙に心地いい。
帰り際、会計カウンターの壁が埋もれるくらいサイン色紙が飾ってあるのが目に入った。
「阿佐ヶ谷姉妹も来たんですね!大好きなのでうれしいです」と店員さんに伝えると、「『深イイ話』のロケで、伊東四朗さんとご一緒にここで撮影されたんですよ」と教えてくれた。
テレビで観たままの印象で、とても良い方だったとも教えてくれた。(わたしは単独ライブへ行くほどのファンなので、心の中でガッツポーズをしました)
「その番組、観ました!江里子さんが大好きな伊東四朗さんがドッキリを仕掛けて喫茶店のマスターになるやつですよね!……思い出したらちょっと涙出てきました」と、急にべらべらと喋ってしまうほど興奮。カウンターからの眺めが、テレビで出てたときの画角に近かったので。空いていた時間というのもあって、店員さんは興奮するわたしをニコニコと受け入れてくれた。
テーブルでは、生姜焼きを食べるおばあちゃん。目の前に置かれた分厚いホットケーキを写真に収めるニット帽の女の子。
喫茶店ブームだから混んでいる、というだけではないなにかを感じて店を出た。
さて、映画でも観に行こうかな。
錦糸町の喫茶店〈喫茶ニット〉でプリンアラモードを。店舗外観
錦糸町の喫茶店といえば、まず名前が挙がる有名な〈喫茶ニット〉。
店名の由来はもともとニットの工場だったとか。昭和41年から喫茶店としての営業を始めたと、アド街で紹介されていました。
錦糸町の喫茶店〈喫茶ニット〉でプリンアラモードを。店内
飴色の世界。カウンターから見えた景色が、まさに「深イイ話」のまんまだったので「ここか!」と驚きました。
なぜテレビ番組を思い出したくらいで泣きそうだったかといえば、憧れの伊東四朗さんに会えた阿佐ヶ谷姉妹の江里子さんが嬉し泣きしてたんですね。あれを思い出しました。
店内はほの明るく、BGMも控えめなので静かに過ごせます。窓際の席も気持ちよさそうでした。
錦糸町の喫茶店〈喫茶ニット〉でプリンアラモードを。メニュー
ニットといえばホットケーキですが、ちょうどオーダーが続いたタイミングだったようで、1時間以上かかるとお聞きしたので、次に気になったプリンアラモードを。
自家製のプリンはほんのり甘く、カラメルがアクセントに。
……って、プリンが見えないくらいフルーツがたくさん!こぼれおちそうなほど。
自家製プリンにバニラアイス、リンゴにバナナ、桃、みかん、パイナップル、さくらんぼに生クリーム!けっこうなボリューム!
全体のフォルムがまるで白鳥のようで優雅な、ニットのプリンアラモード。
ひとりでぼんやりと、はたまた友達を連れてゆったりと静かにおしゃべりするにも最適な空間でした。また行こ。
錦糸町の喫茶店〈喫茶ニット〉でプリンアラモードを。店舗情報
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錦糸町の駅チカにありながら、雰囲気のいい喫茶店。ここもハシゴしてほしい〜!