たった470円でこんなに幸せが味わえるなんて。
銭湯ブームの勢いはとどまることを知らない…ように見えるのは、単純にわたしが銭湯が好きだからであって、実のところ東京の銭湯はどんどん減る一方。
初めてのハードルを下げるには、建物のデザインを工夫するというところに目をつけたのが最近の銭湯の傾向です。
先日クラウドファンディングで目標額を大幅に超えた658万円を集めた、錦糸町の〈黄金湯〉のリニューアルも、目を見はるデザインでオープン前から注目を集めています。
ということで、クラファン支援のリターンで、施設見学会へお邪魔してきましたー!覚え書きメモですが、聞いたことをまとめています。
錦糸町の銭湯なら〈黄金湯 こがねゆ〉がおすすめ!店舗外観
錦糸町駅と押上駅のほぼ中間の裏通りにある〈黄金湯〉。オリナス錦糸町という商業施設の近くです。ビルの1階にある銭湯とは思えないほどモダンな店構え。
黄金湯は、押上にある人気の銭湯〈大黒湯〉の新保さんご夫妻が受け継いだ銭湯です。
関連記事:おすすめ銭湯まとめ -東京下町編-
〈黄金湯〉は、ブルーボトルコーヒーやHAY、五反田の酒屋〈桑原商店〉(←ここもめちゃくちゃかっこいい!)を手がけた有名な建築家の長坂常さんが、はじめて銭湯デザインを手がけました。
おしゃれな銭湯は数あれど、デザイナーズ銭湯を手がける建築家の銭湯は既にいくつかあります。それとは違ったデザインにしたいとのことで、長坂さんに白羽の矢が立ちました。
フロントはガラス張りで開放感があり、初めての人も入ってみたくなる雰囲気。夜になると、フロントの上がまるで提灯に明かりが灯るように見えるそうです。ちなみに朝は10時から。昼間のひとっぷろもできます。
錦糸町の銭湯なら〈黄金湯 こがねゆ〉がおすすめ!フロント
右手には土足入れが。モダンなデザインに一新しつつも、以前のものを残しているのがうれしいポイント。
前の店にもあったというレコード。遊びごころを加えてDJブースを作ることに。
BGMはフロント・脱衣所・サウナで聴けるそうです。お洒落なスピーカーは、銭湯にDJブースを作るのが夢だったという音響会社の方が協力して設置。
…もう、なんだかいろんな人の熱い思いが集結していますね。
オリジナルのクラフトビールも用意し、11月には簡易宿泊所を2階に作る予定だとか。
オーナーご夫婦のご友人である、総合プロデューサーの高橋理子さんが手がけるのは、ロゴマークや館内のサイン、グッズなど。スタッフ用の法被には黄金湯のロゴが!
かっこいい…!
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錦糸町の銭湯なら〈黄金湯 こがねゆ〉がおすすめ!脱衣所
ではさっそく、本来ならば入れない男湯の脱衣所へ。男湯から女湯へつづく長い暖簾は田中偉一郎さんのデザイン。
夫婦で銭湯へ行ったとき、隣の女湯に呼びかける旦那さんの「お~~~~い」を表現しています。「い」は女湯の入口にあるよ!しかもこの長い暖簾、手縫いだそう…!
長坂さんのデザインは、配管がむき出しでクールな感じがとても好き。
黄金湯ではクールさに加えて、木を使ったロッカーなど、銭湯の温もりが感じられるような脱衣所に。
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風呂場には「きょうの猫村さん」作者、ほしよりこさんの銭湯壁画!
これが見たかったー!!!黄金湯の壁画は、ドラマ化もされた「きょうの猫村さん」のほしさんが描く、富士絵巻図。
産まれたばかりの赤ちゃんが黄金湯に入り、成長する姿。端午の節句を迎えたのち、青年は行商を始めます。
仕事の疲れはもちろん黄金湯で癒し。
男湯と女湯の間には富士山が。
ほしさんらしいやわらかなイラストで、すっきりとした銭湯のデザインにマッチしています。
男湯から始まって右から左に流れていくストーリーなので、一度に見られるのは中央の富士山まで。思わず隣を「のぞきたくなる」ような仕掛けになっています。のぞき禁止。週1回程度、男湯と女湯を入れ替える日があるとのことなので、2回目で全部見てね。
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今回はせっかくの機会なので、続きの女湯壁画も貼っておきます!
運命の人に出会い、結婚。よく見たらもう1カップル成立してる。
こちらは七五三!
ラストシーンは湯上りの黄金湯前にて。
これ、手ぬぐいで欲しいなぁ…!銭湯の壁画はバーンと印象強いものが多いけれど、モノトーンだと落ち着いてお風呂に入れる気がしました。
他にもちょっとした遊び心が。
男湯と女湯をつなげる、ラブバー。(名前だけ聞くとあやしい)
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温泉マークがかわいい桶は以前の黄金湯から引き継いだもの。
風呂場はそれぞれ4つ。あつ湯、中温湯、低温炭酸泉、源泉かけ流しの水風呂があります。
フォントがいい、さいっこう!
今日は見るだけの日なのでオープンが楽しみすぎる。
ちなみに炭酸泉は導入費がとても高価らしく、偶然見学にいらしていた錦糸町のサウナ屋〈ニューウィング〉のオーナーさんが驚かれていました。
※2020年9月追記:炭酸泉、ほどよくぬるくてじわじわと温まる感じがよかった…!
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サウナがすごいよ〈黄金湯〉
〈黄金湯〉のオーナーは奥様の朋子さん。サウナが大好きだそうで、強いこだわりが反映されているとのことです。
さて。男湯のサウナへ行きましょう。まるで秘密基地に向かうかのような細くて暗い道を進むと右手にあるのが麦飯石オートロウリュサウナ。
※2020年9月追記:ちなみに入れ替えの日が水曜日なので、女性は水曜日に行くとこちらのサウナ入れます!
壁に敷き詰められた麦飯石によって、はねかえる熱がかなりの熱さになるのでは、と先ほどのニューウィングさん。そこにいた見学者全員が息を飲みました。
サウナの向かいにある水風呂、今流行りのインフィニティープールみたいにフラットでかっこいい…!洞窟のような空間。
錦糸町の黄金湯は、押上の大黒湯と同じように外気浴にはこだわりが。
まるでホテルのプールのような雰囲気の休憩スペース。空と煙突が見えるのがまぶしい。ここは昔、薪置き場だったそう。
※2020年9月追記:サウナ体験してきました!95度のオートロウリュサウナ、反射した熱がめちゃくちゃ暑くて、わたしは5分でギブ。プールみたいな広さのサウナ専用ゾーンの水風呂の温度は16度。
入った瞬間体に電流が走ったかのようで、冷たさに足がビリビリしました笑、なにこれすごい!外気浴したらフワーンと脳内トリップした。刺激が強め…!
では、女湯の方へうつりましょう。
右奥にある、女湯のサウナはセルフロウリュができる仕様に。小さなスペースなので、思い切り水をかけると経験したことのない熱さになるのでは…とニューウィングのオーナーさんが話します。(偶然ご一緒になっただけで、同業者から見るサウナ事情が知れて得した気分)
錦糸町の銭湯〈黄金湯〉の歴史
一説によれば、大正時代からあったとされる〈黄金湯〉。(参考:錦糸町「黄金湯」大改装中にコロナ危機!それでも街を盛り上げる銭湯を作りたい! / CAMPFIRE)
以前の姿では既に配管が痛んでおり、前のオーナーさんが辞めようとしていたところを押上の銭湯〈大黒湯〉(外気浴ではスカイツリーが見える最高の銭湯)の新保さん夫妻が継ぐことに。
減少の一途を辿る銭湯を、次の世代に残したい。1年間、そのままの建物で営業したものの、お客さんはほとんど来ない。それならば、と思い切った改装工事を決めます。
日本の伝統的な文化を残したい。そんな熱い思いに惹かれて、著名なクリエイターが集まりました。また、改装工事に際して行ったクラウドファンディングでは目標額を大幅に上回る658万円という大きな支援を集めます!地元の方から銭湯好きな人たちからも厚い支援を受けて、黄金湯はあたらしいスタートを切りました。
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次の世代につなげるための新しいデザインを銭湯に
今回施設を案内してくださったのは、大黒湯のオーナー新保さん。
「チャレンジしたかった」と話す新保さんの思い。古いものを残しつつ、攻めたデザインにした理由は、次の世代に銭湯文化を残したいから。
普通の銭湯には興味が持てなくても、ちょっと変わったデザインに興味を持つ若者は多そうな気がしています。その場所へ行くこと自体がかっこいい。そんな存在になりそうです。
「家にお風呂があるのに、近所の人が通ってくれるのが嬉しい」と話す新保さん。
それから、下町出身のわたしがビビっときた話のひとつに、東の東京育ちだからこそ西の東京に負けないような場所を作りたいという思い。
「こんなデザインの銭湯が六本木にあってもおもしろくない。錦糸町にあるからおもしろいんです」と話す新保さんに共感しきりでした。決して西側と戦っているわけではないのですが、東京の西側にハイセンスな店が連なり、東東京は古い下町のイメージという印象があるのはわたしだけではないはず。(この10年でだいぶそのイメージも変わった気がしますが)
そういえば、「かもめと街」も下町のあたらしい魅力を届けたくて3年前に始めたのでした。
錦糸町にわざわざ来る用事って、遠い人ほどあんまりなさそうな、近隣の人が買い物する場所という印象。それが黄金湯によってガラリと変わりそう!そんな予感のする銭湯の登場に、興奮する気持ちが抑えられません!
「家にお風呂があるのに、近所の人が通ってくれる。こんなに嬉しいことはない」と話す新保さんにジーンとしちゃいました。
初めてでも大丈夫!銭湯へ行こう
下町育ちのわたしでさえ、銭湯の魅力に気づいたのはここ2年のこと。初めてのハードルは思った以上に高いのが銭湯という存在。わざわざ行かなくても家のお風呂で充分だというあなたの気持ちもわかります。
が、大きなお風呂で解放される、日常生活でよどんだ心。湯上がりにキンキンに冷えた脱衣所でぼーっとする時間。むくんだ足が、帰り道では靴を履いた瞬間に軽やかになっているのを実感する瞬間。あれを経験すると、1日の終わりを銭湯で締めたくなるはず。
黄金湯のオープンは8月22日。まだお風呂に入ってもいないのに、黄金湯や、黄金湯を取り巻く温かな人たちに出会えて、錦糸町の街が好きになってしまいました。
錦糸町の銭湯〈黄金湯 こがねゆ〉店舗情報
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錦糸町、いい店たくさん!ということで、おすすめの散歩ルートをまとめました。夕方から夜にサクッとまわれるコースです。