ずらりと壁一面に並ぶ、マンガの単行本。
子どもの頃はどこの街にも一軒はあったような街の本屋ごとく、最新の入荷情報まで掲示されている。
「漫画の量、すごいですね」とスタッフのマダムに声をかけると、「店長の趣味なんです」と。
ゲーム機のテーブルに、フロアの奥にはテレビも。暇つぶしならどこにも負けないという気概が感じられる喫茶店。
錦糸町は、今でも喫茶店があちこちに残っている。ロータリーがきれいに作られ、カオスだった駅前は、昔の風景を地中深くに埋めてしまったようだ。
千葉の人がよく遊びにくる東京の街といえば、錦糸町らしい。渋谷はちょっと遠いし、パルコやオリナスといった大型商業施設も増えたし、ラインナップもなかなか良い。
そんな錦糸町の街だけど、まだまだディープなところが見え隠れしていて、〈喫茶 桃山〉もそのひとつ。
駅前のパルコから大通りを挟み、そのすぐ裏通りだというのに、この喫茶店のある通りは昼でも薄暗い。夕方になれば、飲み屋や大人の店がちらほら。夜はちょっとこわいけど、店へ入ってしまえば天国。
外界と遮断された広々とした空間には、孔雀のステンドグラスにシャンデリア。昭和のゴージャス系喫茶店の魅力にとりつかれるはず。
しばらく休憩して外に出ると、タイムスリップしたような目眩を覚える。
「今は、令和3年だよね…?」と思わずつぶやきたくなるノスタルジックぶり。
いつまでも残っていてほしい。
純喫茶で東京をめぐる旅 vol.9 錦糸町〈喫茶 桃山〉 店舗外観
錦糸町の喫茶店めぐりなら、〈レストラン・喫茶 桃山〉へ。
入口からは想像のつかない広さでゆっくりできます。
緑の角丸看板もいい味でてますね。
昭和のデザインにありがちな、文字をぎゅっとさせた〈レストラン・喫茶〉の長体がいい。上野の〈丘〉を思い出しました。
関連記事:まるで地下に続くダンスホール。上野の純喫茶めぐりー〈丘〉
えっ、モーニング6時からやってるの…?
東京のおすすめ喫茶店 錦糸町〈喫茶 桃山〉店内
厨房を横目に見ながら、細長い通路を奥へ進むと、あら!ゴージャスな空間が!
見たいポイントが多くて興奮が止まりません…。至るところが柄・柄・柄!
昭和のゴージャス系喫茶は、天井から壁、床までこれでもかというほど見所が。ヨーロッパの城をイメージしていそうなインテリアですが、どこか調和がとれているのは全体的にベースの色がキャメルだからなのだろうか。
内装の雰囲気は、上野の〈古城〉を思い出しました。ソファのボックス席といい、なんとなく近しい雰囲気。
関連記事:うつくしい純喫茶の美術館。ヨーロッパの城をモチーフに。〈古城〉-上野
〈桃山〉には、あちこちのテーブルがゲーム機に。電源が入っているところは、実際に遊べるそう。
床のシートはドット。
奥には孔雀のステンドグラスが。
よく見たらランプもチューリップの花みたいなフォルム。
マンガ好きな人は、このずらりと並んだ単行本に興奮しちゃいそうですね。
純喫茶で東京をめぐる旅 vol.9 錦糸町〈喫茶 桃山〉メニュー
今回はドリンクのみ。〈桃山〉のメニュー、どれも比較的お手頃プライスですね。
わたしはウィンナーコーヒーを。
コーヒーはけっこう薄め。こってり甘さたっぷりなウィンナーコーヒーではなかったけど、それもいいのかも。次はフレッシュジュースがいいな。
とにかく、この空間、どっぷりと本の世界に入るのにぴったりです。
純喫茶で東京をめぐる旅 vol.9 錦糸町〈喫茶 桃山〉店舗情報
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