「この服かわいいけど、いい歳だし厳しくない?」
その言葉を聞くたびに、力をふりしぼって否定してきた。
それは、決してお世辞なんかじゃなくて、本心から出た言葉だから。
冒頭のセリフは、わたしがアパレル販売員だった20代の頃、試着されたお客さまから幾度となく聞かれた質問。
「そんなことないですよ!すごくお似合いですよ!」と返すのはお決まりのパターンだと想像される方も多いでしょう。
そんなセリフは全部お世辞だと思われそうですが、わたしは本気で「お似合いだな」と思って伝えていました。
なぜなら、こういうことを仰るかたって、すごく似合っているんですよね。
自分でも似合っているというのをわかっていつつも、どこかで世間体を気にしてしまっているんです。
それがわたしは悔しくて。
「似合っている」と、自分がいちばんわかっているはずなのに、自分自身より周囲の目が気になってしまう、ということが。
他人の目なんて、いやむしろ、「いい歳なのに」と言ってくるような人の意見なんて水に流してしまえばいいんです。
・・・そう、去年まではそう思っていました。
「自分がしたい格好をすればいいじゃん!」って。
けれど、36歳になって「四捨五入したら40・・・?」と思った瞬間、今まで切り捨てていた「他人の目」が気になり始めたんです。
渋谷系ミュージシャンのミューズ・元ピチカートファイブの野宮真貴さんの著書「赤い口紅があればいい」では、こんな風に書かれていました。
“いつまでも気持ちだけは若いつもりでいるので、自分が認識している自分は、実は現実よりも若く設定されています。
引用:野宮真貴/赤い口紅があればいい ”
ドキっとした同世代の方、多いかと思います。
これを読んで以来、「冷静な目を持たなくては・・・!」と気を引き締めました。
けれども。
「もう歳だから、こんな服は着ちゃいけない、白い目で見られる」と思って冒険しなくなるのはもったいない!
ということで、これだけは声を大にして言いたい。
「冷静かつ客観的な目を持ちつつも、好きな服を着よう」と。
いまの自分に似合う服は、少しずつアップデートされていきます。そこに気づくか気づかないかは大きな違い。
でも、ホントは誰がなんと言おうと、自分が好きなファッションを貫いたらいいと思うんです。
きっと、その格好で自分自身に自信を持っている佇まいこそが素敵だから。
好きな服を着ると、気持ちがしゃんと前を向きます。
そうしてきちんと「自分の基準で選んだ服」を着ている人は、いつだって笑顔でたのしそうに毎日を過ごしているように見えます。
自分に置き換えて振り返ってみてもそう。
好きな服をまとえば、どんな日だって少しだけ前を向ける気持ちが湧いてきます。
そんな風に大好きな服の魔法に力を借りて、たのしく暮らせる人が増えたらいいな。
次に読むなら、自分に似合うシンプルなTシャツを見つけるコツを