劇場へ入るときの胸の高鳴り。
非日常への扉が開く瞬間の興奮と近いものを感じた。
外観は一見ふつうのビルだけれど、入る時にその看板を見上げるだけで、ひとつの仕掛けに気づくはず。
レストランのような入口で、外から中の様子をうかがい知ることはできない。
でも、一歩踏み入れた瞬間、目線の先に広がる光景に驚くだろう。
まばゆい光に照らされた白の背景に、鮮やかに咲き誇る花々のような柄のテキスタイルが目に飛び込む。
カフェでは珍しいくらいの大きなテーブルは、一人客が無意識におこなってしまいがちな、まわりへの気遣いだったり気後れ感を与えない配慮なのかもしれない。
テーブルの上に飾られた花から落ちる影まで、どこかドラマティックだ。
入口から左へ入ると、ソファ席がある。そこから店の奥へ目を向けると、なんだか小劇場の客席に座っているかのような感覚に陥った。
木製の2人掛けベンチに、小さなペンダントライト。
そのまた奥にも壁で仕切られ、こちらからは扉のように長方形に切り取られた入口だけが見える空間がある。目が慣れるまで、そこにお客さんがいることに気づかなかった。
ここから見ると、なんだか舞台の公演中のようだ。
カフェへ来ているお客さんが、他の人から見てさながら物語の世界に出てくる登場人物のように感じる空間はあるだろうか。
SNSで散見される「映える瞬間」をわざわざ演出しなくても、そこに誰かがいるだけで美しく感じられるような。
人がいなくても空間自体が美しい空間だけれど、人がいるからこそ、その場所にドラマが生まれ、空間と人が相乗効果によって引き立つ。
ああ、やっぱりお店って素晴らしいな。
押上のおすすめカフェ〈PENITENT ペニテント〉店舗外観
スカイツリーの近く、押上エリアに新しくカフェがオープンしていました。といっても、去年の夏にはオープンしていたそうなので、本所の〈マークト〉とほぼ同じ時期だったんですね。
〈PENITENT〉の最寄りは、都営浅草線の本所吾妻橋駅です。近くにはハンバーグが人気の〈モンブラン〉もありますよ。
で、冒頭でも触れましたが、見てくださいこれ!
ショップのInstagramを拝見して、同じように撮ってみました。縦長の看板が多い中、横長でシンプルかつスタイリッシュ。
入口はこちらから。〈PENITENT〉は完全キャッシュレスなので、現金派の方は準備を。
入口が奥まっているからか、ちょっと気づかれにくいというか分かりにくさはあるものの、それがいいんですよね。静かに過ごせそうな予感がして。
押上のおすすめカフェ〈PENITENT ペニテント〉店内
カフェの入口はこちら。レストランやバーのような佇まい。
視界がぎゅっと狭められ、光の差す方へ。
入口から正面に見えるのが大きなテーブルの席。
カフェのインテリアについての本や、伊坂幸太郎さんの作品などが端に並んでいて、ついついじっくり読んでしまいました。
初めて行ったときは、この写真の手前にあるソファで友人とお茶していたのですが、ここから見える眺めが素晴らしくてもう……!この部屋に住みたい。
静かに過ごしたい派のお客さん(わたし含む)が喜ぶ席の配置。他の人と目線が合わないように配慮されているような気がしました。
それぞれが、それぞれの存在を感じつつ、居ることを認め合えるような空間。
押上のおすすめカフェ〈PENITENT ペニテント〉メニュー
はじめて行ったときは、安納芋のベイクドチーズケーキと紅茶を。しっとりなめらかなチーズケーキも美味しかったし、紅茶もカカオの香りがする初めての味わいでした。
2度目は大きなテーブル席のほうでカフェラテを。
デンマークのコーヒーを使っているとのことで、オンラインショップでも豆が購入できますよ。ごはんもののメニューもあるようなので、次はランチへ行ってみたいと思います。
静かにお茶したい派の人に、強くおすすめしたいカフェです。
押上のおすすめカフェ〈PENITENT ペニテント〉店舗情報
両国のブックストア〈YATO〉