6時50分。
父の運転するハイエースのデジタル時計に目をやる。
もうすぐいつもの土曜日の朝が始まるころ。家に帰れば母が朝ごはんの準備をはじめる頃だろう。
車から見える朝日を浴びた街はまだ静かで、きらきらと光るコンクリートがきれい。
AMラジオから流れる軽快なトークに耳を傾けながら、「まだ家に着かなければいいのに。もっと話していたいな。」と思う。
ふだんは無口な父が、なぜか饒舌になるひととき。
早起きが苦手なわたしは、父からの突然の築地デートのお誘いに、いつも目をこすりながら参加した。
前日の晩は「わぁ、行きたい!市場楽しいし!」と思って快諾しつつ、当日の朝になると「ああ、なんでオッケーしちゃったんだろう。めんどうだ・・・」と昨日の自分を恨めしく思ったりもした。
築地に着くと、さっそく父のペースで買い物が始まる。
どの店がいちばん安くておいしそうか見比べつつ、値切ってみたり急に勢いよく買ったりする姿は、いかにも下町の男っぽくて、子どもながらにちょっと照れ臭さを覚えた。
朝の築地だからこそ味わえる、活気あふれた市場は、わたしの心をぎゅっと掴みっぱなしだった。
大人になった今、久しぶりに父の案内で妹家族や夫と築地へ足を運んだ。
「場外は観光客向けだから値段も高い。本当におもしろいのは場内なんだよ。」と早足で場内市場に向かう。
あまりにせかせかと歩いて、どんどんと先に行ってしまうから「あ、あれ気になる!買おうかな」と悩む時間も与えてもらえない。女性陣(主にわたし)から文句が漏れるのも当然の結果であった。
けれども、そうして青果市場の奥の奥まで進んだところに、めあての穴場の海鮮丼のお店があったのだ。
混む時間を避けて、実は念入りに時間調整して散歩案内されていたことに気づく。
築地に来ると、子どもの頃の懐かしさに胸がぎゅっとする。
もうすぐ、そんな築地も姿を変える。
街が移り変わるのはどうしようもないことだけれど、せめてあと何度かは、父と一緒に築地に行きたい。
わたしにとって築地は、そんな思い出の場所。
築地のおすすめランチは、場内の隠れた名店へ。
こちらの記事で紹介した「市場の厨房」は、場外の海鮮丼のお店に比べると比較的リーズナブルに新鮮な海鮮丼がいただけますよー!
青果市場の奥の奥のはずれにあります。詳細は下記の地図をご覧くださいね。
築地市場のおすすめランチ「市場の厨房」店舗情報
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#かもめと街の東京案内揚げたて、サクサクのカツがのった、
懐かしい味のカツカレーを食べてきました。浅草・雷門のすぐそば「洋食 とん久」で昔ながらのカツカレーを。 https://t.co/TRP3h3iSvn
— チヒロ@かもめと街 (@kamometomachi) 2018年6月30日