ブックバーひつじが シモダさま
「暑くなってきましたね」なんて、声をかけあっていた時期が懐かしくなるほど猛烈な最高気温を叩き出す日々ですが、お元気でしょうか。
夏のビール、たまりませんね!夏の銭湯でキンキンに冷えてる水風呂の爽快感と近いものを感じます。お酒はだいぶ弱いのですが、つい最近すごくおいしい生ビールを出す店を知ってしまい、季節も相まって「これが……みんなが口々に言ってた『夏のビールのうまさ』なのか……」と感激しました。いつかお連れしたいです。
『2歳児語辞典』、発想がすてき!友人の子どもが一生懸命なにか伝えようとして謎のことばを発し、友人が完全に通訳して感激した思い出があります。その、一緒に積み重ねた時間があってのコミュニケーションの形にうっとりしました。
『捨てられない紙』も、紙好きにはたまりませんね!表紙にわたしの好きな喫茶店のコースターがあって嬉しくなりました。何冊か紙好きの人のZINEを持っているのですが、同じテーマでも作る人によって視点とアウトプットは異なるところがまたいいですよね。
『へべれけ人生』、家飲みというテーマに惹かれました!というのも、夜ごはんを作るのがめんどうな日に、「居酒屋チヒロ」と称して、冷奴とかみそきゅうとかを出し、手抜きという意識をすり替えて居酒屋ごっこするのが好きで。
さて、今回は6月に開催された文学フリマ岩手で買った作品スペシャルでお送りします。まだ1ヶ月しか経ってないのに、もう1年以上前のことのよう……。前回も少し触れましたが、少しお付き合いください。
はじめての遠征。出店よりもすでに旅行としての楽しみが上回っていましたが、そうそう忘れ物を取りに行けない場所のイベントに出るということで、1週間前くらいから緊張してましたし、荷造りもしていました。
会場に着いたら着いたで、すでにブースの準備万端な人も多くて焦りがつのり、(その方達は皆さんボランティアで、早朝から会場の準備をしてくださっていたとのこと!本当にありがたいことです)什器の組み立てがうまくいかず、イヤフォンで音楽聴きながら静かに集中し、なんとか自分を奮い立たせたりしました。
今回はたまたま両隣が女性グループでした。もともとひとり出店だったので、どこかで心細さは覚悟していたのですが、とにかくまわりの皆さんが優しくて大変心強かったです。お喋りしたりお菓子を交換しあったり、まるで修学旅行。同じジャンルでなんとなく近しい雰囲気だったのかもしれません。
終わった後なんだか寂しくなりましたもん。いつもなら人が多い場所へ行った後は、まっさきにひとりになりたくなるのに。
最近はエッセイや日記から少し離れていたのですが、その両隣の方が出されていた日記がどれも素敵で!お二方とも以前から作品は気になっていたのですが、ようやく手に取る機会に恵まれました。
しらい弁当日記
マガジンハウス発行の伝説の雑誌『クウネル』はご存知でしょうか? 今はリニューアルしてだいぶ変わっていますが、10数年前はすごく好きでよく読んでいました。
そのクウネルで、さまざまな職業の人のお弁当の写真が掲載されたページがあったんですね。あれを見るのがすごく好きで。
食いしんぼうに共通することのひとつとして、「メニューを延々と眺めていられる」というのがあると思うのですが、しらいさんの日記は日々のお弁当のメニューが書かれていて、それを読んでいるだけで至福なんですよね。台湾パイナップルよく出てくるな〜とか。毎日自分のためにお弁当を作り続けるしらいさんの姿って希望そのものだなって思い、グッときました。
それから、ある日に遭遇したロリータファッションの女の子の話が出てくる日の日記が好きです。摩訶不思議なことが起きるのが日常で、それを事実として読める日記は最高ですね。
さみしいものから順に整列 工藤結日子
お隣のしらいさんと一緒に出られていた、工藤結日子さんの日記。ちらっと読ませていただいたら、くるりに言及しているところがあって即買い。身近に音楽の趣味が合う人が少ないので、近い人を見つけるとすごく嬉しくなっちゃいます。
「さみしい人のさみしい日記です」と手渡されて、「さみしさを二乗してる」とちょっと驚いたのですが、文章がいいんですよ!あと、1日のボリュームが結構多く、読みごたえがあります。
他の人にとっては気づかないくらいの違和感をすくい上げ、書き残す。それを読んで「こう思ってたの自分だけじゃなかったんだ」と読者(自分)がほっとする。イージーな共感じゃなくて、その先にある安堵感。短歌をやっている方なので、本のタイトルも余韻があって素敵。
仕事でのもやもやを書いたり、読書会などで趣味の合う人との交流もとても積極的で、それがすごく濃密で楽しそうなんです。「こんな世界もあるんだ」って教えてもらった気持ちになり、わたしもどこか新しい場所でだれかと知り合いたくなりました。
おとな交換日記 華道部OGの会
最後のこちらも日記です。盛岡の高校に通っていた元華道部の3人が、大人になってそれぞれ別の場所で暮らしながら、それぞれの生活を書く交換日記。
もうね、コンセプトがいいですよね。ドラマかな?っていう。
大人になるとそれぞれの生活があって、しかも別の地域に住んでいるとなかなか会えないじゃないですか。久しぶりに会えても全然話し足りないまま別れなきゃいけなかったり。
今でこそSNSで簡単にリアルタイムで交流できるわけですけど、それをあえて「第三者に見せる交換日記」という体をとって交流を続けることの尊さよ……。イベント当日も皆さん楽しそうで、それを見ているだけでもなんだかこちらまで幸せな気持ちに。
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今回は偶然出店が隣だった方々の作品を紹介しました。本人を知ってから買うおもしろさというのも絶対ありますよね。その、直接話すだけではわからない部分をのぞかせてもらうというか。それはそれですごくおもしろいことですよね!なんか、これからもさみしい気持ちになったら、あのときの盛岡の文フリのことを思い出せば元気になれる気がします。
ということで、盛岡に続き、9月に行われる大阪での文学フリマにも出ることにしました!その勢いで福岡の文フリにも参加したかったのですが、計画性のなさから今年は断念せざるを得ず……!
3ヶ月に1度、ひつじがさんで行っているZINEの販売会も行きたいですし、その際には新刊とともにぜひ遊びに伺いたいです。
……って、わたし、いつになったら新刊作りはじめるんだろう!やるやる詐欺をしながら8月を迎えてしまいそうです。
気づけばこの連載も24回目。えっ、もしかして1周年…⁉︎
フワッと記念日を迎えてしまいましたが、1年もお付き合いくださりありがとうございます!うれしい!
では、次のお手紙も楽しみにしております!
追伸:「ぴちぴちまーみぃ」、言葉の並びがかわいすぎて悶絶しました。これから枝豆見たら絶対思い出しちゃう。
かもめと街 チヒロ
次回の更新は「ブックバーひつじが」シモダさんです。(8/10公開予定)