[連載]全日本ZINEファンクラブ vol.30

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この連載は福岡にある「ブックバーひつじが」店主のシモダヨウヘイさんと好きなZINEをそれぞれ紹介しあうというコンセプトで始めました。毎月10日(チヒロ)・25日(シモダさん)の月2回、それぞれのサイトで往復書簡を公開します。前回のお手紙はこちら

ブックバーひつじが シモダさま

こんにちは。

11月はお手紙のお休みをいただき、ありがとうございました。シモダさんもわたしも、てんやわんやの秋を過ごしていたことかと思います。

福岡パルコでのBOOK MEETS FUKUOKA、とても楽しそうなイベントでしたね!動物のイラストが描かれたイベント会場もかわいくて、置かれている本たちも本屋さんで並んでいるのとは様子がまた違って見えて、本に縁がなかった人も手に取りやすい雰囲気がいいなぁと。どのジャンルにも言えることですが「ジャンルを越境する」って思わぬ可能性があってよいですよね。

たまに目にする「ブックオカ」ってなんなんだろう?と思いつつそのままにしてたのですが、シモダさんが誘ってくださったことでようやく謎が解けました。かもめと街の作品も置いてくださりありがとうございました!なかなか足を運べない場所で新しい読者さんに出会える機会をくださること、本当にありがたいです

こちらもようやく新刊発売&文学フリマ東京が終わり、いろんな作品を読める時間ができました。

 

『中島が磯野を野球に誘い続ける365日カレンダー【2025年版】』本多へいはちろう

わたしはつねに大喜利スキルの高い人を尊敬しています。なぜなら想像力が豊かだし、そのみずからの想像力で見えている現実をたのしく生きるコツを知っているからだと思うんですね。それに引き換え、大喜利力のないわたしは、ラジオにメッセージを投稿するときのラジオネームでさえひねりの効いたネーミングを編み出せず、たいてい本名のまま送ります。

こちらの作品はそんなわたしが憧れる大喜利力の持ち主が作ったもの。内容を説明するまでもなく、タイトルに書かれていますね。国民的アニメ『サザエさん』に出てくる有名なセリフ、「おーい磯野!野球しようぜ!」とカツオを野球に誘う中島くんの365通りのセリフが収められています。ときにへりくだったり、行事を取り入れたりと、よくもまあこんなに思いつくなあと人間の想像力の果てしなさを感じられます。

今の子どもはサザエさん見てるのかな?シモダさんは子どもの頃、サザエさん見てましたよね

日記・日記・日記

すみません、ここからは東京の文フリ&日記祭で買った日記本祭りをさせてください!

1年前に最後の日記本を作って以来、読み手としても「しばらく日記はいいかな」と少し離れていたのですが、また読みたくなるフェーズに入りました。

うちの本棚にずっと、奈良で私設図書館をやられているルチャ・リブロの青木真兵さん・海青子さんの日記シリーズ『山學ノオト』があって。日記本という意識がないまま、何年も前から読んでいたのですが、久しぶりに新刊を手に取ったが最後、ふたたびの日記ブームが訪れました。

ZINEを作ってイベントに出続けていると、なんども来てくれるお客さんや出店者の知り合いも増えてくるものだと思うのですが、そういうつながりで買った日記本がぜんぶ良くて。

本人を知っているからこそ、という側面もあるかもしれませんが、なんというか、何度会ったところで本人の創作や生活のすべてが分かるはずもなく、そういう片鱗が見える(けど作為的ではない)日記が大好きなんですよね。

安藤昼夜さんの『めぐりめぐって昼行灯』。安藤さんの日記は独特の表現がじわじわとツボに入り、電車の中では読めません。巻末のエッセイは眉毛のメイクについて書いてるんですが、日常の疑問とかモヤモヤを解体し再構築していくさまがおもしろくて! 本文ページの読みやすさもきちんと考えつつ、表紙はなんと手書きというアナログ感もいいんですよね。印刷が間に合わなかったからと書かれていましたが、タイトルの文字の表情からして文具好きなのが伝わってきますし、手作り感がよくて。シモダさんが前回の連載で紹介されていた、柿内正午さんの作品のような衝動性と近いものを感じるんですよね。

今回の文フリを見て思ったのですが、全体的にデザインや質のクオリティがものすごく上がっていて、それはそれで素敵だなと思う反面、手作り感の愛おしさも忘れたくないなと思っていて。今作りたいものを今やれる範囲で衝動的につくることも大切なことだといつも思っています。

 

以前ここでも紹介した「しばり日記」の作者である、朝日まほろばさんの新作『センスいいと思われたい日記』。

通常の日記と、「ファミレスデザート探訪記」という、その日食べたスイーツを軸に出来事を記しているコーナー、そして短歌が混ざり合って構成されていて、その編集力に唸りました。ページをぱらぱらっとめくったときも雑誌的でおもしろそうだし、本をあまり読まない人も読んでみたくなる作りというか。タイトルがやけに正直すぎておもしろい&引きが強いのに、全体を通して作為的すぎないところが好きで。なんなんだろう。

安藤さんも朝日さんも、日常への細やかな気づきや目線の温かさがいいなぁと。決してほっこりするというだけではなく、おかしみがあるのは二人ともお笑いが好きだからなのかもしれません。好きなものも摂取しつづければ自然と自分の学びになるのかもしれません。この2つの日記からそんなことを思いました。

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文フリで発表した新刊『たらふく』では、シモダさんにも大変お世話になりました!

お店の営業や新刊の制作、イベント準備などご多忙な中、焼酎のほのかな香りが感じられる素敵なエッセイを書いてくださり、人生で初めて焼酎を飲んでみたくなりました。エッセイのパワー恐るべし。

『たらふく』は、本当にみなさんのご協力で素晴らしい作品になりました。もちろん、個人制作なので至らない点も多々あるものの、ZINEだからこそ出来たことだなと実感していて。「かもめと街」というブログを始めて7年目のいま、できること全部集めた集大成が『たらふく』でした。

この先も自分が納得できることを小さく続けていけたらなー、なんて思っています。

シモダさん、もしやそろそろ東京の文フリに出ますか?「ひつじがさんのファンで」という声を東京でもあちこちで聞くので、いつか凱旋してほしいなぁ。その時はなにか一緒にやれたらいいですね!

かもめと街 チヒロ

次回の更新は「ブックバーひつじが」シモダさんです。(12/25公開予定)

 

新刊『たらふく』発売中!ブックバーひつじがでもお取扱いありますのでシモダさんファンはぜひそちらで!)

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https://kamometomachi.booth.pm

 

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